2 動画編集する前に
2.1 動画編集のポイント
2.1.1 「シーン」と「カット」
映像作品のジャンルや目的にもよりますが、動画編集をして映像作品を制作する場合、その映像作品はいくつかの異なる「シーン」から構成されたものになるはずです。
「シーン」というのは、そのとき「何を映して見せているか」を説明できるような映像の単位のことです。動画編集を通じてつなぎあわせる映像は、「何を映して見せているか」という点のほかに、それを「どのように映したものか」に注目して組み合わせることによって、映像としてのバリエーションを広げることができます。こうした何を・どのように映したものかという観点から説明できる映像の単位のことを、ここでは「カット」と呼ぶことにしましょう。
ここでいう「カット」というのが、ふつう、Shotcut上での「クリップ」に相当するものです。
動画編集の主な目的は、複数のカットをあらかじめ決めておいた構成にしたがってつなぎあわせることによって、一つの映像作品をつくりあげることです。したがって、動画編集で実際にやる作業とは、
- 準備した素材をもとに切り出したりすることで、必要なカットをつくる
- それらを決めておいた構成どおりにつなぎあわせる
ということだといえます。
このとき、カットのつなぎ合わせ方にはいくつかのポイントがあります。よく指摘されるのは、たとえば次のような点です。
2.1.2 カットの長さに注意する
まず、一つ一つのカットが長すぎると、変化の乏しい映像になってしまい、見ている人が飽きやすいものになりがちです。
一つ一つのカットの長さの目安は、やはり映像作品のジャンルや目的にもよるのですが、1カットだけからなる一つのシーンをめいっぱいの長さ映すのだとして、長くても15~20秒くらいまでを目安にするのがおすすめです。より「映像作品らしい」映像作品では、一つ一つのカットは比較的短く、長くても7~10秒程度のカットをつないでいくことによって、一つの映像作品を構成することが多いようです。
2.1.3 さまざまなアングルのカットを組み合わせる
こうした目安をもっておくと、どれくらいの長さの映像作品をつくるのに、どれくらいの素材を準備しておけばいいのかという見通しを立てやすくなります。
たとえば、15~20秒程度の1カットのシーンをつなぎあわせて一本の動画をつくるとして、90秒の動画をつくるのには4~6カット(シーン)程度必要なことがわかります。
逆にいえば、カット(どのように映したものか)を切り替えない場合、一つ一つのシーン(何を映して見せているか)の長さは15~20秒程度くらいまでが限度です。もとの映像素材の長さがそれよりも余分にあったとしても、同じ意味のカットしか切り出せないのなら、その素材からはそれ以上映すべきではありません。
カットのバリエーションを増やすには、あらかじめ同じシーンを複数のアングルから撮影した素材を準備しておくのが簡単です。このとき、仮に一つ一つのカットの長さの目安が7~10秒程度だとすると、素材からその長さのカットを切り出すためには前後にさらに数秒間の「余白」があることが望ましいため、一つ一つの映像素材は少なくとも15~20秒程度の長さになるように撮影しておくと便利です。
2.1.4 その他の撮影時のコツ
このように、素材を自分で撮影したうえで動画編集をする場合、素材の撮り方の段階からコツをおさえておくと、スムーズに動画編集をおこなうことができます。
動画撮影時におけるその他のコツについては、次のWebサイトを参考にしてみてください。
2.2 素材をダウンロードできるWebサイト
この資料の例のなかでは、基本的に自前で準備した素材ではなく、動画ファイルや音声ファイルを配布しているWebサイトからダウンロードした素材を使っています。
たとえば、次にあげるWebサイトからダウンロードした素材を使用しています。
また、このほかに「Appendix A — Subtitle Editで字幕をつける」の例のなかでは、「あみたろの声素材工房」で頒布されている音声を使用しています。
動画ファイルや音声ファイルをダウンロードできるWebサイトは、ここにあげたもののほかにもたくさんあります。適宜検索したうえで、それぞれのライセンスや利用規約にしたがって使用してください。
一部の例のなかで使っている次の画像については、Inkscapeを使って独自に作成したものです。ご自由にお使いください。